安田徳太郎
1975年11月号の『現代思想』を読んでいたら、安田徳太郎という人が「思い出す人びと」というエッセイを書いていて、これはもしかしたらあの『精神分析入門』を翻訳した「安田徳太郎」ではないかと調べてみたら「あの安田徳太郎」だった。
面白い体験記で、この人は戦時中ソ連のスパイとして警察の特高課かなんかに捕まった人で、ゾルゲとか尾崎秀実とか西園寺公一といった人たちの名がでてくる。
獄中のことも書いていて、こういう政治的な人がフロイトの『精神分析入門』の翻訳をしたのかと思った。何だか不釣り合いな気がしたが、しかしこの人の翻訳した『精神分析入門』はいいものだった。
イデオロギーに凝り固まった人という感じはなくて、わりあい普通の、戦時中の普通の教養人といった感じだった。
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