園子温「TOKYO TRIBE」
園子温(その・しおん)監督の映画を観るのは『恋の罪』からで二作目になる。
夜の9時からのスタートで11時ごろ終わるということで、ふだん10時半には寝てしまうぼくにはおっくうなところがあったが、それでも観てみようと思った。園子温というひとにはなにか弾んだところ、なにか内部にこだわっているものがありそうな感じだったからだ。
それで『恋の罪』を観たときはもう二度と、すくなくとも映画館に観に来るようなことはないだろうと思ったんだが、やってきた。
『TOKYO TRIBE』(トーキョー・トライブ)。最初は画面すべてを使うぞみたいな、画面に余白をつくらないような、映像をにぎやかに、映像をすみずみまで街の情景と人とで埋め尽くすような、にぎやかで演劇的なところもあった映像に惹かれた。魅力的だった。
それで観終わったあとの感想をいえば、ヤキトリを100本食ったような感じだ。
地のセリフにラップの、ラップにのせたセリフを混ぜるというこころみはある時間までは違和感があったがそのうち無くなった。主人公の空手にすぐれた女の子はかわいかったな。スンミと言ったっけ。
おもえばフランスの修道院僧の暮らしを、生活を、音楽をいっさい使うことなく(使わなかったと思う)、淡々と描いたドキュメンタリー『大いなる沈黙へ』はいけないとおもいつつついコックリとしてしまったが、『TOKYO TRIBE』は睡眠時間帯にはいりつつも、まったくコックリしなかったわけだから、面白かったのかもしれない。すくなくとも画面から目を放させないようなものがあったということだろう。
そういうふうに思います。
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