「大鹿村騒動記」を観にいく
原田芳雄の遺作。親近感をずっともっていた俳優。特別な俳優になったのは1974年に黒木和雄の監督した『竜馬暗殺』を観てから。鮮烈な印象の映画だった。ほかにはやはり黒木和雄が監督の『祭りの準備』かな。どちらも「時代の映画」だった。
チケットを買いにいったらごく前の席しか残っていないのであきらめて、そのあとの回の上映のチケットを買った。6時間ちかいあいだがある。どうする。駅ビルの本屋に行って欲しかった本を図書カードで買った。それからとりあえず喫茶店にむかって歩いた。
つまらない映画だったら困るなと思っていたがそんなことはなかった。軽味のあるのんびりしたなつかしいようなリズムをもった映画だった。風景の撮り方がいい。映画のもつ質感のようなものがいいな。この映画にはぼくの好きな俳優が三人でている。原田芳雄、石橋蓮司、松たか子。
長野県大鹿村で300年つづいているという村歌舞伎。その歌舞伎で主役を張ってきた男、風祭善(原田芳雄)のもとにある二人連れがやってくる。ふたりは18年前に風祭善のもとから逃げ出した妻(大楠道代)と親友(岸部一徳)だった。駆け落ちした二人がもどってきたのだ。
最初からねじを目いっぱい巻いた物語の設定がすごい。あとはねじが回転し戻っていくのをみてればいい。原案は延江浩、脚本は荒井晴彦、監督は阪本順治。
原田芳雄は声がしわがれるところがたまにあったが、それだけで、こういう強弱重軽自在のちからの加減もできるんだなと思った滑稽味のある演技。原田芳雄が最後に出た映画はいい映画になっている。
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