ヘーゲル「哲学史講義Ⅰ」から
「なにかがあらわれるとき、その最初の形は、輪郭をもってそこにあること、ほかのものと区別されてそれとしてあることです。思考が自己自身をもっと具体的にとらえ、自分に沈潜し、精神そのものを意識するのは、後のことです。このとき、具体的なものは、さまざまな内容をあたえられ、他者をもうちにふくむ普遍的なものとなります。それ以前の精神は、抽象的で、自分にとらわれ、ちがいに目を奪われ、他と対立しています。それが自分をもっと具体的につかむようになると、細部にこだわることも、ちがいのうちにのみ自分を知り自分を所有することもなくなり、具体的精神として、自分とはちがう現象形態のうちにも核心的なものをとらえ、その現象を理解し、それに関心をむける。つまり、その内容やその内実のうちにいまや自分自身を認識し、ここにはじめて、自分の対立物を理解し、それに正当な価値を認めるのです。」
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