吉本隆明+芹沢俊介「宗教の最終のすがた オウム事件の解決」を読んでいる
この吉本隆明と芹沢俊介の対談のかたちの本を読んでいて、あるところで、目が停まった。そこはぼくが通っていたある整体所のことを、その整体所の世界のことをつかむためのヒントがあると思ったからだ。
右肩痛を治すために通い出した整体所だったが、いろいろな事があって結局ぼくはこの東京の昭島市にあった整体所に11年間ほども通うことになったのだ。
たぶん五十肩のようなものだったろうが、それを治しに「病院ではない整形外科」に通っているつもりが、ずいぶんひどい所に通っていたのだ。
通い出してから、心身に大きなダメージを受ける事件があり、その治療もこの整体所を創った整体師に委ねたため、半分闇におおわれた世界にいたのだということが余計に分からなかった。
この整体所はある女性の整体師が創設した整体所であって、そこでのこの整体師の存在は大きく、通っている12、3人の固定的なメンバーはこの女性整体師に心酔していた。
「変な所だな」とは通い出してすぐ思ったのだ。この整体師へのメンバーの依存の強さは尋常ではなかった。しかし住んでいた所の近くの医院にしばらく通ったが治らなかったこと、仕事の都合上すぐにでも肩痛を治したかったことなどから通い続けたし、その後心身に強いダメージを受けて余裕を全くなくした状態になってしまったことから選択肢はほかになかったのだ。
何といってもここは身体を治す所なのだし、いくら変わった所とはいえ、金を払って治療を受ける所なのだ。治療所なのだ。自分の向かって歩いている世界がそんな影のある世界だとは誰も思わないだろう。
ここはこの女性整体師の王国のような所だったとずいぶん後になってわかった。
彼女は見事にその世界をコントロールしていた。何でもないごくありふれた風景や光景の中にその世界があった。
なんと奇妙な世界だったろう。
今はそのことが分かる。しかし長い間分からなかった。通っているうちは分からなかった。事件で受けた心身のダメージが薄らいでくると、引っかかってくるものはあり、心の中や頭の中で何かを浮び上がらせようとはしていたのだが、はっきりとした形はとれなかった。
そういう世界の外枠をつかもうと読んでいる。
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