ジョージ・オーウェル「1984年」読み終わる
ジョージ・オーウェルの『1984年』(訳 高橋和久)、読み終わった。最初はなかなか「昔のような緊張ある読み方はできないな」と思っていたが、途中から小説の世界に入っていった。
恐ろしい小説だった。一党独裁の国の支配する超全体主義的な社会で、社会に抵抗感をもった男が国家によって完全にその人間性を破壊されるまでの物語だ。
ジョージ・オーウェルの想像力は共産主義社会を、当時のソビエトの社会をよくとらえている。その想像力は現在の北朝鮮や中国の社会にまで届いている。見事だと思う。
政治小説だと前に書いたが、人間小説だ。絶対的な権力が司るきわめて高度に管理された社会での、人々が体験していくだろう心の動きがよく書かれている。ほとんど書けているという感じだ。
この小説に出てくる管理する党側の人間の「オブライエン」はぼくが最初に通った整体所の指導者のある女性を思いださせた。そして「オブライエン」は次にある男を思いださせた。
怖い小説だった。
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