パゾリーニ「奇跡の丘」
パゾリーニは真面目だった。こんなにリアルなキリスト伝映画は観たことがない。
白黒の1964年の映画。この映画を作ったときピエル・パオロ・パゾリーニは神そのものの存在を前提として認めていたんだろう。本当に神を、キリストの存在を信じていたんだろう。
神がいるかどうか、キリストはいたのかどうかという葛藤はまだ始まっていないとおもう。
パゾリーニの真摯さにおどろく。後年のスキャンダラスな事件はいったい何なんだろう。
おそらくパゾリーニはずっと真面目だったのだ。まじめに彷徨していたのだ。世間と上手く握手することができなかった人じゃないか。あるいはしなかった人なのだ。
生きて映画を作っていて欲しかった。
パゾリーニの眼に、1970年代、1980年代、1990年代、2000年代はどう映ったのだろうとおもう。
唯物史観の者や進歩主義者は時代や人間の変貌を、社会の変わり方を、当然のこととして、まるで前提のように考えてしまう。だからその目は、人間や社会の動きを最後まで追わず、途中から眼を放してしまうのだ。
パゾリーニはそうじゃなかっただろう。パゾリーニの眼は1970年代、1980年代、1990年代、2000年代の人間や社会の動きをどう見ただろう。それを知りたいとおもう。
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コメント
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19日に載る予定のものだったんですが、ココログのリニューアルにともなうトラブルで、今日21日になっています。
投稿: 布村 | 2019年3月21日 (木) 09時48分