火野葦平と田村泰次郎
火野葦平と田村泰次郎の小説が載っている集英社のぶ厚い本を開く。
日本文学全集という。この厚さで590円だから相当まえの本だ。
火野葦平の小説は引っかかってこない。読んでみようと思わない。
田村泰次郎の「肉体の悪魔」も引っかからない。
「肉体の門」が引っかかった。
今の時代ならなかなか書けないだろうというところがある。自粛してしまうだろう。いまの時代、エロス系は大丈夫だろうが、結果的に人を殺してしまうことに解放感や充足感を感じたとは書きにくい。ここは体験をもとにしているところだから。
昭和22年、1947年の小説だ。続いて「裸女のいる隊列」を読む。
これは田村泰次郎が兵隊として生きた中国での体験を書いているもので、日本の軍隊が中国で実際どういうことをしたのか書いている。凄まじい。
いろいろ言われているが、この小説が事実にちかいだろう。体験したことを書いているんだから。
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