金田一春彦の「ことばの歳時記」
犬とか好きなんだが、背中の毛とか近くでみていると、なんだか気持ち悪いような感じもでてきて、自分で気になっていた。
なぜかといえば、動物が嫌いな人間というのは、どこか「おかしい」というふうに、メディアに、世の中に主導されておもわされているから、あんまり大声では言えないような感情になっているのだ。
いわばおおやけにできないような感情なので、自分で後ろめたく思っていたのだ。
しかし日本人は本当はやっぱり動物とかあんまり好きじゃなかったのだ。動物の毛とかはやっぱり気持ち悪いとおもっていたのだ。
金田一春彦の1月から12月までのすべての日に、その日に関係あることをつづっている『ことばの歳時記』の十月二十七日の、「シカ」の題をもつところに、こう書かれている。
「日本の和歌には、元来、ウメ・サクラ・ヤナギ・モミジ・ハギ・キクなど、植物をよんだものが多いが、動物を題材としたものは少ない。」
「日本人が獣を嫌ったのは、なまじ人間にもっとも近く、あの毛むくじゃらな感触をきらったもののようで、シカも、愛されたのは鳴き声だけであった。」
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