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2018年7月19日 (木)

ヘーゲル「哲学史講義Ⅳ」についてのメモ  その3

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 ヘーゲルがぼやいている。

 「現実の客観的世界が理性的になっただけに、外部からくる強制力は際限なく大きくなり、個人の人格や生活はどうでもよくなる。哲学者は、外的な世間づき合いを避け、世俗的な仕事や労苦を投げだして、哲学者として生きるべきだという人がいるが、さまざまな欲求がからみあい、とくに教養の質が複雑化している時代にあって、個人の力量など高が知れていて、なにをするにも他人と協力するほかありません。だからこそ、外的事情にかかわりつつ生きていくことが必要で、しかも、その外的事情はわたしの思惑とは無関係に進行していく。そのなかに自己や自己の性格を投入するわけにもいかないし、そこで自分独自の生きかたを示すわけにもいかず、しかも、社会生活のうちにみずから一定の位置をつくりあげねばなりません。」

 当然のことだろうけど、ソクラテスが生きた古代とヘーゲルの時代では大きく社会のかたちそのものが変わっているのだ。今の、現代の社会とはもっと大きく変わっているわけで、吉本隆明が最後は今の時代の人間たちに絶望し切って、古代の人間を語り出したという印象をもったが、そういうことなんだろう。

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