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2018年7月16日 (月)

ヘーゲル「哲学史講義Ⅳ」についてのメモ  その1

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 ヘーゲルも時代によって、社会の移り変わりによって人間の在り方は変わるという考えだ。

 「すぐ目につくのが、今日の生活状況も古代の哲学者たちのそれとはいまやまったくちがっていることです。古代の哲学者たちはそれぞれが独立の個人だった。哲学者は自分の教えに従って生き、世間を軽蔑し、世間に交わることなく生きることが要求された。古代人はそれを実行しました。古代では個々人が哲学者として一つの階層をなしていた。個人が哲学者としても生きること、すなわち、内面的な目的や精神的な生活が、外面的な生活状況を決定することが可能でもあり、また実際にそれがおこなわれてもいました。個人はそれほど輪郭のはっきりした存在だった。」

 こうも書いている。

 「近代になると事情は一変します。ここにはもはや哲学者個人は存在せず、哲学者が一つの階層を形成することもない。哲学者たちは全体としてなんらかの活動を通じて世間と交わり、他の人びとといっしょになって国家内での一階層をなす。他に依存し、他と関係する存在です。その生活は市民生活や国家のなかにふくまれ、私人として暮らすことは可能でも、私人としてのありかたが他との関係を断ち切ったものではない。外的な生活状況のつくられかたがちがうからそうなるので、近代にあっては、外的世界は安定した秩序をなし、階層や生活様式がきちんとできあがっています。」

 ヘーゲルは現実をちゃんとみているとおもう。

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