ヘーゲル「哲学史講義Ⅲ」についてのメモ その1
ヘーゲルがローマ世界について語っている。
「明朗なギリシャ世界では、主観は国家や世界と強くつながり、国家や世界のうちに生きていたのですが、不幸な現実のなかにあっては、人間は自分のうちに引きこもり、世界のうちにはもはや見出しえない統一を、自分のうちにさがし求めねばなりません。ローマ世界は抽象的な世界であり、教養世界の上部に唯一の支配、唯一の支配者が君臨します。国民の個性は抑圧され、外的な権力が抽象的な共同性として個々人にのしかかってきます。そうした分裂状態のもとでは、どこかに満足を求め見出す必要が生じる。」
« 赤い葉 | トップページ | ヘーゲル「哲学史講義Ⅲ」についてのメモ その2 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- フロイト「精神分析入門(下)」(2023.09.21)
- ヘーゲル「哲学史講義Ⅰ」から(2023.09.19)
- 松川なおみ「丘をのぼる」(2023.09.16)
- 小林秀雄「新編初期論考集 批評家失格」(2023.09.14)
- 与謝野鉄幹の「煙草」(2023.09.12)
コメント