ヘーゲル「哲学史講義Ⅱ」についてのメモ その16
ヘーゲルのよい文章がある。
「存在の本質が対立物の統一にある以上、その過程は必要不可欠です。対立物の統一とは、対立物の否定を本質とし、他なる存在を破棄し、対立を破棄して自己へと還っていくものだからです。」
前後の文章を加えると、
「実際、一般性が否定されてどう理念が実現されるかは、直接に表現されてはいませんが、存在の本質が対立物の統一にある以上、その過程は必要不可欠です。対立物の統一とは、対立物の否定を本質とし、他なる存在を破棄し、対立を破棄して自己へと還っていくものだからです。アリストテレスのいう現実性とは、まさしくこの否定の活動であり、実在を生みだす活動です。それは、自立した自己自身を分裂させ、統一を破棄し、分裂を引きおこす活動であり、そのとき、理念はもはや独立の存在ではなく、他者にむきあう存在であり、統一を否定する力となっている。が、それだけではない。対立物は破棄されるのですが、この対立物の一方はそれ自体が統一です。プラトンでは理念という積極的原理がたんに抽象的な自己同一体として力をふるいますが、」
とある。
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