ディス・デイ「希望の一日」
バラク・オバマがアメリカ大統領に就任した日、2009年1月20日を写真と文で記録した本。
これを企画した人は2009年1月20日を特別な日と考えた。黒人のオバマがアメリカという国で大統領になるということが。
世界中の人びとにとっても熱くなる日と考えたようで、世界のいろんな地域の、国の、多くの写真家に2009年1月20日の写真を撮ってくれと依頼する。その場所の、その日を、写真に撮って、その写真についての文章も書いてくれと依頼する。
その2009年1月20日という日への熱さが微笑ましいのだが、実際のところ、アメリカの威光は世界中のどこにでもとどいているわけでもないし、とどいていたとしてもそこで生きている人たちにはわからない、気づかれていなかったりする。頼まれた写真家にしてもオバマが大統領になることにそれほど関心を持っていない者もいる。
この企画ならオバマが大統領に就任した式の行われた場所だけを、180万人集まったというその会場だけを、そこだけをいろんな写真家に撮らせて、アメリカじゅうから集まってきたいろんな人たちの表情、様子を撮らせて、それを文章に書かせたほうがよかったと思う。この写真と文章の本を読んでいて、そう思うのだ。
そのほうがこれを企画した人の熱さを生かせたろう。
しかし、それとは別にして2009年1月20日の世界のあらゆる場所、アメリカ、カナダ、南米、ヨーロッパ、アフリカ、中東、アジア、ロシア、ウクライナ、オーストラリアといったそれぞれの場所の情景、風景、光景、そこに生きる人たちの表情、様子をとらえた写真と文が、それはそれで興味深いのだ。かなり興味深く読みすすめられる。
そんな本だ。
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