清水啓三という人の書いた「連禱」という詩集をよむ
十数年まえにこの詩集をある人に手渡されてから、この詩集をどうしようとずっと思っていたといえる。
一度読んだだけだが、そう思わされる詩集だ。
60年代後半から70年代前半の時代を母体としたところから立ち上がってくる言葉の詩集だ。
この息苦しくも暑い、もの悲しくもせつない言葉の噴出、蒸気というか煙というか暗い炎はあのころよく出会った言葉だ。
過去のことだからもういいだろうと思ったし、その後知ることになったあのころ底の空いたような政治活動をしていた人間のクズたちにひどい目にあわされたこともあって、さわりたくもないモノという思いももった。
で、読んでみる。
「独語の岸から」はいい詩だ。
「海に帰る」もいい。
捨てようとも思ったが、たぶんこの詩を書いた本人とその周囲のひとたちしかこの詩集のことは知らないだろうから、いまぼくがこの詩集を捨てるとこの詩集はこの社会から消えてしまうような気もする。
というわけで、新たな読み手に出会う可能性もあるだろうと思い、富沢智さんの「現代詩資料館・榛名まほろば」に送ることにした。
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