オーウェル評論集を読んでいる

2回目くらいかな、3度目か『オーウェル評論集』を読んでいる。これは平凡社のものではなく、岩波文庫の小野寺健編訳のもの。
このなかに入っている「鯨の腹の中でーーヘンリー・ミラーと現代の小説」という評論は抜群によくて、まえ読んだときもそうだったけれど、感心してしまう。
ヘンリー・ミラーはぼくは『南回帰線』を読もうとしたことがあるけれど、あんまり興味がもてなくて、途中でやめてしまった。今度はオーウェルが高く評価している『北回帰線』をちゃんと読んでみようかと思ったりした。
オーウェルの方法というのは、知識の歴史のなかを歩いてそこで思考して答えを出すというのではなく、対象をじぶんのなかに通らせるというか、じぶんの好き嫌いも認めながら、体験したこと、経験したことを捨てず、こだわりながら、具体的にああでもない、こうでもないと感じ、考えていくやり方で、これなら分かるし、これなら自分もできると思う。
これを分かるためには、あれを勉強しなくちゃ、これを読まなくちゃということではなく、じぶんの持っているカードをフルに活用するということで、これはそんなに遠くにはいけないやり方だが、大衆的であり、身体的であり、そしてこの方法こそが普遍的であり、長く伝わっていくやり方だと思う。
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