「レヴェナント 蘇えりし者」観想

レオナルド・ディカプリオ演じるアメリカ開拓時代の男の、大自然のなかのサバイバルと復讐劇。
ディカプリオはこの演技でアカデミー主演男優賞をとっている。
復讐に燃える男が最後は復讐のむなしさに気づいて・・・というストーリーだと思っていたが、違う。落とし前はつけるのだ。
この映画の前に観た『極爆 マッドマックス 怒りのデス・ロード』というクソ映画にとんでもないストレスを抱えさせられたので、ちゃんとしたというか、まともというか、そういう映画でよかった。
映画館も代えた。
今度の映画館はずっと昔に宮沢りえの『豪姫』という映画を観た所だった。あの時はガラガラの映画館に冷房がガンガン効いていて閉口したのだ。それでというのかどうか覚えていないが、それ以来だ。
映画館をよく見ると、ちょっと古くてちょっとさびれた感じがある。新しい映画館ではない。
それがいいのだ。
少しさびれた所だと気持ちが落ち着くのだ。
『レヴェナント 蘇えりし者』は客がずいぶん入って来るので驚く。公開開始からそんなに日が経っていないからだろうが、平日の昼でもかなり入る。
熊に襲われて瀕死の重傷を負い、雪におおわれた大自然のなかを生き抜くディカプリオ演じる毛皮狩り隊の斥候をつとめた男の身体的生命力におどろく。半端な生命力ではない。アメリカの雪におおわれた広大な白い大自然のなかを文字通りはいずり回りながら生き抜くのだ。
ぼくは『史上最強のインディアン コマンチ族の興亡 最後の英雄クアナ・パーカーの生涯』という本を読んだとき、アメリカの成り立ちというのはヨーロッパから移住してくる白人たちと地元の先住のインディアンの戦いという単純な図式ではないということを知った。インディアン部族同士の戦いというものがあって、白人たちに協力するインディアン部族も多かった。白人とインディアンの戦い、インディアン部族同士の戦いというものが混在していたのだ。
『レヴェナント 蘇えりし者』にもそのへんは出ていて、そういうことがもう常識になっているのかなと思った。
前は白人は侵略者、インディアンは被害者という図式しかなかった。
アメリカ先住民たちに滅亡という悲劇が訪れてしまうのだけれど、それは一元的な言い方は出来ない複雑な経路をたどってだ。
『極爆 マッドマックス 怒りのデス・ロード』でマッドマックス役で出ていたトム・ハーディがこの映画ではディカプリオの敵役で出ていて、似たような役づくりをしていて、この野郎、ワンキャラクターしかできないのかと思ったが、もうちょっとちがう陰影をだしていた。
ディカプリオと大自然の映画。
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