「東京物語」観想

すごい! 名画だなとおもいながら観ていたが、義理の姉にあたる紀子(原節子)が京子(香川京子)に日常の閉じていく日々の肯定を説いているところで、ぼくの飛んでいる心が円のなかに閉じこめられるような思いがしたのだ。
ここに小津安二郎の思想があるのかもしれないが、この世界を、この日常の世界を緊張感をもって撮りつづけるのは難しいだろうと思った。
全作品を観ていなくても、たしかにこの『東京物語』が小津安二郎の代表作だろうと思わせるものがある。
すばらしいショットがいくつもあり、キレのいい場面転換、動きがあり、物語がある。
人間の単一ではない感情もとらえている。
まえ観た『秋刀魚の味』にはがっかりさせられたが、この『東京物語』は手ごたえ充分だった。
『秋刀魚の味』が1962年の作品。『東京物語』が1953年の作品だ。
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