チャーチル「第二次大戦回顧録 抄」読み終わる
チャーチルの『第二次大戦回顧録 抄』(毎日新聞社編訳)読み終わった。
結局トイレのなかだけで全部読んでしまったような感じになったが、最後のほうで原爆の記述がでてきて、関心をもって読んだ。
アメリカ政府から原爆の実験の成功を聞いたチャーチルは「この恐ろしい研究の情熱を注意していたが、」とか「人類の歴史における恐るべき事件」といったような思いを抱いているから、やはりとてつもない破壊力をもった兵器が開発されたのだとは考えていたのだ。
原爆の使用にかんしては、「この新兵器によって、われわれはこれ以上都市を破壊せず、また敵と味方の生命を同時に救い得ることになった。」と書いている。
沖縄の戦闘のあと、日本の本土に進攻した場合、日本軍の徹底した激しい抵抗が予想されたから、味方も敵も、相当の被害がでるだろうと思っていたわけだ。
また日本軍に無条件降伏を求めたが、それを拒否されたために原爆をつかう計画をたてたとある。
「しかし、これらの条件は、日本軍首脳部によって拒否された。そこでアメリカ空軍は、原子爆弾一個を広島に、さらに一個を長崎に投下する計画を立てた。」
また、こういう記述もある。
「日本の運命が原子爆弾によって決定されたとするのは、誤りであろう。日本の敗北は、すでに原子爆弾投下以前に定まっていたのである。日本に対する破壊的な攻撃は、空と海からつづけられ、分散して内海に難を避けていた日本艦隊の残存艦船は、一隻一隻がねらわれ、七月末には日本海軍は事実上存在しなかった。」
すでに日本の敗北が決定的であったなら、「人類の歴史における恐るべき事件」とでも呼びたいような兵器をつかうことはなかったんじゃないかと思うが、それでも日本が敗北をはっきりと認めるまでには相当の戦闘がおこなわれるだろう、というふうにチャーチルは考えていたわけだ。
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