« 2014年1月 | トップページ | 2014年3月 »

2014年2月

2014年2月26日 (水)

「もっと泣いてよフラッパー」

Cimg3845

 日曜日の渋谷のシアターコクーンに観に行く。

 串田和美の作、演出。美術も串田和美で、一枚の幕がおおきく上手く効果的に使われている。松たか子、松尾スズキ、りょう、大東駿介、片岡亀蔵、大森博史、串田和美らが出演していて、串田和美とその仲間たちの舞台という感じ。

 場所はシカゴ。1920年代、禁酒法の時代。ギャングと踊り子たちの時代。きらびやかな夜に君臨するクラブ・リベルテ。

 田舎からキャバレーの踊り子の仕事をもとめてやってきた娘ジル(松たか子)は都会の様子がわからず、うろつきまわることになるがやがてクラブ・リベルテに職を得、夜のきらめく光のなかで舞台に立つフラッパーになる、そして・・・というのが中心的なストーリーのながれだが、しかし誰かひとりを物語の中心にすえるというのではない。群集劇にちかいのかな。主役らしいひとは何人もいる。

 音楽劇。物語が展開するというのではなく、物語が集まり、散り、集まるという感じ。

 まさに音楽劇。第二部から面白くなってきた。観ながら60年代から70年代初めの匂いがするなあと思った。さびしい風が吹き、アナーキーなざわめきがある。77年に初演とあるからこのさびしい風にたいしての反応は当時と今とではだいぶ違うんじゃないかと思った。

 第一部に活気がないのは、おそらくこの「さびしい風」への反応がむかしとは違ってしまっているからじゃないかと思う。このことにかんしては串田和美も打つ手がないといったところなんだろう。

 ギャング黒手組のボス・アスピリンを演じる松尾スズキがものすごく面白かった。ものすごくおかしい。

2014年2月23日 (日)

Cimg3810


Cimg3815

2014年2月21日 (金)

藤原新也・安部龍太郎「神の島 沖ノ島」

Cimg3610

 藤原新也が九州の福岡か博多かのテレビ局でこの本のことをしゃべっていて、そのとき「これは小さなコンパクトなカメラで撮ったんですよ。」みたいなことを言っていた。ぼくはデジカメみたいなカメラだろうと思った。デジカメならぼくが使っているカメラだ。そのときこの写真集の何枚かをテレビで映していて、その写真がこういうのをデジカメで撮れるのかとびっくりさせるものだった。陰影と奥行きを感じさせた。それでこの写真集が欲しくなったのだ。何軒かの本屋にあたったがなく、映画『ブリングリング』を観に行ったとき、映画館の横に本屋があった、もしかしたらと思って、入って行ったらあったのだ。

 藤原新也の撮っている風景の写真は遠くにあるものが近く広くみえる。島も海もそうみえる。神社も人も。

 どういう距離を選ぶ人なんだろう。どのような対象との関係に入ったときシャッターを押すのか。そうではなくもともと<眼>が特異な人なのか。

 考えがまとまらないまま『神の島 沖ノ島』をひろげている。

2014年2月18日 (火)

風景

Cimg3793

2014年2月14日 (金)

「小さいおうち」を観に行く

Cimg3806

 一度目『小さいおうち』を観ようと映画館に行ったら、前四列しか空いていませんと言われあきらめて帰ってきた。今回が二度目、公開から二週間ほどが経って、平日だというのに客はよく入っている。

 山田洋次監督の最新作。赤い瓦の屋根をもつ小さなおうちが舞台。その家の平井時子という若妻を演じるのが松たか子でとても魅力的だ。陽性であけっぴろげ、しかし不倫をするときはびっくりするほどなまめかしい。小さいおうちの女中、布宮タキを演じる黒木華も適役でかつ好演。そして亭主役の片岡孝太郎もいい味をだしている。

 この家、小さいおうちも主役のひとりという感じ。昭和10年ごろの、小さいけれどモダンな家。昭和前期という風景になじむ。たしかにこんな家並みがあったんだろうなという気にさせる。

 小さいおうちで起こった不倫物語を女中だった布宮タキが後年語るという筋立て。始まってからは山田洋次監督の力量をみる感じで、なつかしく鮮やかな情景とともに話しが運ばれていって、ぼくが観たなかでは『たそがれ清兵衛』に並ぶ作品かなと思ったりした。

 それがだいたい3分の2くらいまでというところ。それ以降はだんだんやせていく感じがする。

 スタミナ切れか『小さいおうち』の時代背景になっている戦争の時代へのメッセージをこめたいという焦りからかと思うけれど、今の時代もう映画を観て反戦的なメッセージを受け取ったからといって、反戦的になる大人というのはもういない。

 小さいおうちの平井時子と布宮タキの人間の物語だけを語れば、語りきれば充分に背景にある太平洋戦争の過酷さと残酷さはあぶりだされると思うが、そのほうが映画としては豊かになったと思うのだが。

 そう思うけれども、ここでどうしても反戦映画的な面がでてきてしまうのが、反戦映画的なメッセージがでてきてしまうのが山田洋次監督という人なんだろうと思った。いまの切迫した時代状況のこともあるだろう。

 しかし目に残る。赤い屋根と松たか子と窓。松たか子が小さいおうちの赤い瓦の屋根のなかにある窓をあけて立つシーンが鮮烈だった。物語のどこの話だったかはっきり覚えていない。あの場面の鮮烈さだけ覚えている。不倫の相手が赤紙をもらったと告げに来て、立ち去っていく場面だったのか。次の日に会いに行こうとしているときか、あの情景がまだ目に残っている。

2014年2月11日 (火)

風景

Cimg3792

2014年2月 7日 (金)

期日前投票に行く

Cimg3800

 東京都の知事選の期日前投票に行ってきた。

 きのうの報道ステーションの古舘伊知郎の候補者たちへの政策インタビューを観ていても、これだという候補者はいなかった。いなかったが投票せずにはいられない。いまはそういう政治状況である。

 投票してもいいという候補者が二人いて、最後の最後まで迷ったが、最後に決めた。

 平等で寛容な社会であって欲しい。

2014年2月 4日 (火)

「かぐや姫の物語」

Cimg3785

 絵がいい。墨を使ったような、濃淡を生かした絵。日本のアニメーションを代表する作品のひとつになっていると思う。

 興行成績とかのプレッシャーがかかるだろうによくああいうゆるい、民話風の、はっきりとさせない線の絵にしたものだと思う。できたものだと思う。高畑勲監督のこだわりだろう。完成度の高い映画だった。

 高畑勲の作品は一本全部ちゃんと観るのはこれがはじめて。なんとなく敬遠していたけれど、観てよかった。

 よく知らないのだけれど、物語としては「かぐや姫」そのまんまなんだろう。自分のなかにすでにあるかぐや姫の物語とほぼ重なる。

 なにが違うかといえば、かぐや姫という女性のとらえ方がちがう。顔を上げ、真っすぐこちらをみるかぐや姫だ。自分の感情や意志をもとうとするかぐや姫だ。この時代ではまわりと衝突してしまうかぐや姫だ。そういうかぐや姫がこの映画では生きている。かぐや姫の感情の振幅がこちらにはっきりと伝わってくる。

« 2014年1月 | トップページ | 2014年3月 »