« 2013年1月 | トップページ | 2013年3月 »
須永紀子さんが主宰する詩誌『雨期』が60号を迎えて、60号記念として「詩の未来、これからの詩」というアンケート特集をやっています。ぼくもアンケートに答えています。
『雷電』3号に載っている安田有の「吉本さんからー(吉本さんへのきれぎれの手紙)」が面白い。というか読みやすい語り口で書かれていて、散文ではまずこれを読む気になった。
自分の歴史のなかでの吉本隆明との関わり合いを書いていて、読者として、あるいは詩集を出したときの解説を吉本隆明に書いてもらったときの短い出会いなどを語る。
「吉本隆明」を卒業した人の、どこかに冷たさもある文章かもしれないが、的確で印象的なものがある。
「吉本思想の世界は、そのひとつを否定すればその全体を否定せざるを得ないという要素を多分にもっていたからだと思います。」
たしかにそういうところがあったな。
またぼくも考えこんでしまった原発への吉本隆明の発言については、
「吉本さんの発言の当否を云々する能力は今の自分にはありません。ただひとつ指摘できることは、大半の人が人間の倫理という場所からオウム事件や原発事故に対して発言し論じていましたが、吉本さんは非倫理という位相から発言されていた、ということです。その違いから様々な誤解が生じたのだと思っています。」
なるほどな、頭ではわかっているようなつもりでいたが、あらためてこう書かれてみると、なるほどな、そうだったなという思いになる。
野上弥生子の『秀吉と利休』を読んだ。この千利休像がいちばんリアルなものだろうと思った。
後半の利休が切腹するまでの秀吉と利休の葛藤は息をのむような描写だ。ぼくが読んだのは文庫本で、単行本で出たのが昭和39年2月とあるから野上弥生子が80歳ちょっと前に書いた作品ということになる。凄いというほかない。
最近のコメント