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2011年12月31日 (土)

小林秀雄「近代絵画」

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 小林秀雄の絵画批評『近代絵画』(新潮文庫)を読んだ。本としては字が小さすぎて読みにくさに閉口することもあったけど、小林秀雄の書いたもののなかでも優れた一冊といえる。新刊を置いてある本屋でみつからなかったから、廃刊になってしまっているのだろうか。

 読みながら、じぶんのなかに複雑で、緻密な線が引かれていくような感じだ。小林秀雄にとって特別の存在であるゴッホを論じ、そしてゴッホとは対照的な場所にいるルノアールもしっかりと肯定的に描こうとしているから、ハラを決めてやっているわけだ。

 最後に載っているピカソについての批評だけはスッと入って来にくかった。スッとはいってくるところと、ごちゃごちゃし過ぎて分かりにくいところがあった。しかしそこまでのボードレール、モネ、セザンヌ、ゴッホ、ルノアール、ドガへの視線からは豊かなものを受け取ったといえる。みずみずしい線が、認識がじぶんのなかに引かれていくのを何度も感じた。

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