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2011年4月23日 (土)

朝の空

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 川口晴美さんの詩集『EXIT.』(ふらんす堂)を読み返している。

 スペース的に家に置いておくことが不可能になってしまったので、いただいた詩集などは富沢智さんの現代詩資料館「榛名まほろば」に寄贈するようになった。正直にいえばそれまでは自分が読んだ詩集をひとの手に渡すということには抵抗感がつよくてできなかった。それで置いておくスペースがなくなったときは捨てていた。

 しかしここ何年かで捨ててしまうよりは他の人に読んでもらう可能性があるなら寄贈するのもいいじゃないかと思うようになった。くり返し考えるうちにそれもいいじゃないかと思った。詩との関係性が変わってきたともいえる。

 ダンボールに入れる前に本にしている書きこみを消しゴムでけしたり、カバーの汚れを取ったりする。そのとき詩集をちょっと読み返す。

 川口晴美さんの『EXIT.』。2001年にでた詩集のなかでとくに印象に残っている詩集なのでそれを確認したかった。

 ぼくが読んだ川口さんの詩集のなかでは川口さんが時代に対して最も前傾した姿勢をとっているものといえる。長い散文詩が多い。何かを強く喚起させるということはない。それ自体が時代の床に横たわっているという書き方だ。散文詩に濃縮がないと結局なにも書いていないではないかということになるが、詩のコトバが熱っぽくねばっこく緊張をもつ場合、それは動きだし時代の床を這う蛇になる。そういう詩が確かにあった。

  

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