「ぼくのエリ 200歳の少女」を観に行く
スウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』(トーマス・アルフレッドソン監督)を観に行った。
ヴァンパイアの12歳の少女エリと非ヴァンパイアというか普通の12歳の少年オスカーの恋・友情・異種間交流の物語。
陰鬱な街にどこからともなく現れた少女エリ、父親とおぼしき男とふたりで、オスカーのとなりの部屋を借りた。
母親とふたり暮らしのオスカーはいじめられっ子だ。学校で同級生らにからかわれいじめられている。そのことは母親には言えない。しかし引っ越してきたエリには出会って間もないのに言えた。たぶん初めていじめられていることを打ちあけることのできた相手なのだ。
何もないような北の寒い街。男たちは鈍重でグチってばかりいる。この雪の積もった街で奇妙な殺人事件が連続して起きる。殺された者たちは何故か血を抜きとられている。
雪の木の映像が美しい。驚くのは北欧の街の室内の装飾のなさというか殺伐さだ。実際にあんなふうなんだろうか。
遠足の日、エリにやりかえせ、逃げてはいけないと教えられたオスカーが、氷の張った湖でいじめっ子をたたきのめすシーンがすばらしい。喝采したくなった。ここが映画『ぼくのエリ 200歳の少女』の頂点のひとつだ。
エリは200年も生きてきたヴァンパイア。そして12歳のまま年を取ることのできないヴァンパイアだ。深い孤独。耐えられない悲しみ、それを12歳のオスカーはなんとなく分かってしまう。理解する。初恋の映画というよりは、共感の映画だ。
エリに血を吸われた中年女がだんだん様子がおかしくなり、神経質になり、猫に襲われ、ついには朝の光をあびて、燃え上がってしまうのをみて、この映画は吸血鬼映画の手順をきちんと踏もうとしているのだとわかった。
よくこういう物語を考えることができたと思う。12歳の少年少女の恋愛友情世界と吸血鬼映画を見事に合体させた一本。
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