雨
雨。梅雨だなあ。
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雨。梅雨だなあ。
この表紙の写真が気に入っている。
場所は空港だと思う。後ろの方で子どもが遊んでいる。
椅子に座った若い女性はどこかへ帰ろうとしているのか、行こうとしているのか。
寝ているのか、ただ眼を閉じているだけなのか。
きのうの新聞、毎日新聞6月24日の朝刊に載っている連載批評、三輪太郎の「死という鏡」で村上春樹の『1Q84』<BOOK1~3>を扱っていて、いたく感心した。
『1Q84』という村上春樹の長編小説を五つの層からなるものとして読み解いていて、こういう読み方があるんだな、おれには到底できない読み方だな、知識がちがうな、ずっと小説を読んできた人だからできるんだなと思った。
文芸誌というものを読まなくなってしまったので、何がどうなっているのか分からず、三輪太郎という作家・文芸評論家はこの新聞の「死という鏡」<現代小説を読む>という連載批評で初めて知った。
毎週木曜日の朝刊に文芸批評としては広くないスペースで簡潔に、読みやすく、面白く、劇的に、毎回ちがう小説の批評を書いていて、最初から興味をもって読みつづけていた。
というわけで三輪太郎という人は大したもんだなと感心していたら、『「死という鏡」は今回で終わります』という掲示した1行をみつけて、びっくりしてしまった。もっとつづくと思っていた。残念だ。
雨。
ベランダに出たときが雨の降りはじめだったようで、ハトとカラスが騒いでいた。
映画『告白』(中島哲也監督)を観にいった。
サスペンスな復讐の映画。観ているうちに個人的な体験をひきだされるようだった。
主演の松たか子は愛する娘を殺されて、心が死んでしまった人間の、復讐をするしかなくなってしまった人間の凄みをにじみ出す。最後の複雑な表情、「あいまいなところ」は松たか子の感情が入っているのか、原作がそうなっているのか、監督の指示なのか、そんなことも考えた。
冒頭の「私の娘は・・・このクラスの生徒に殺されたのです。」という女教師(松たか子)が教壇で語る長い告白が斬新。
映画の中学校の生徒たちの人間関係のなさというか、「内戦状態」のような関係のなさを、生徒たちと同世代の観客は「分かる」んだろうか、「共感」するんだろうか、すんなり受けいれるんだろうか、聞いてみたいように思った。
小さな娘を殺されたと知った女教師・森口悠子は復讐をはじめる。サスペンスストーリーの乾いたこの映画がよく大ヒットしているなあと思ったが、犯人の一人、少年Aの内部世界を解きあかしていくところから映画にふくらみがでてきて、これなら納得できると思った。
森口悠子も少年Aも荒廃しているが、いちばん印象にのこるのは教室の中にいた生徒たちだ。あの生徒たちの雑然さ、猥雑さ、殺伐さ、人間関係の何もなさが、皮膚感覚というか体の底に残るようだ。
ペットボトルのごみ出しに行ったときに撮った。
うすい雲が広がっているが晴れ間もみえる。
本田がゴールを決めたときはびっくりした。点を取れない、勝てない日本の試合を見つづけてきたから。
最後のほうは守るのに精一杯で、日本は強いチームじゃないんだなと改めて思った。
一番印象にのこった選手は松井。うまい選手だと思う。夜更かしはしたくないと思っていたが、観終わってちょっとくつろいでいたら1時を過ぎていた。こんなに遅くまで起きていたのはひさしぶりだ。
今年のNHKの大河ドラマ『龍馬伝』をいつのまにか毎週観るようになった。面白くてドキドキする大河ドラマというのはじつに久しぶりだ。映像が鮮やかで美しい。
武市半平太という複雑な武士がドラマの吸引力になっている。土佐勤王党の指導者で、下士でも上士でもない上士扱いという存在。大殿・山内容堂へのあこがれと信頼は強い、しかし山内容堂は上士ではない武市半平太をじつは人間扱いしていない。大森南朋の演じる武市半平太の視線が『龍馬伝』に光と影をつくりだしている。
びっくりしたのは武田鉄矢の勝海舟がぴったりくること。これが武田鉄矢かとおもうほどかっこいい。
福山雅治の龍馬はミスキャストに観えたときもあったが、福山雅治でなければつくれない龍馬像をつくっているとも思う。広末涼子の加尾とのラブシーンは美しく切なかったし、攘夷というイデオロギーの噴き乱れる幕末に、ひとり命の大切さを説く、ほんわりとした感じは福山雅治ならではのものじゃないかと思う。
晴れ。休みの日に晴れというのは久しぶりのような気がする。
ボブ・グリーンの『アメリカン・ビート』(井上一馬・訳 河出書房新社)という本を何故か読みたくなって読んでいる。アメリカの新聞や雑誌に書かれるコラムというのはこういうものなのかと驚く。
実話を基にした物語というか小説のような文章。軽くてなめらか。哀しい話や深刻な話が障害物のない道路を歩くようなスムーズさで書かれる。大したことは起こっていない、しかし内容を考えるとこれは大変だというような感じ。
どうしてかこの本を読みたくなった。表紙カバーのアメリカの若い女性を撮った写真が印象的だ。
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