増村保造の「刺青」を観にいく
『シャーロック・ホームズ』にしようか、『刺青』にしようか迷ったが、完成度の高さなら増村保造だろうと思い、ラピュタ阿佐ヶ谷に出かけた。
阿佐ヶ谷でラーメンを食べたいと電車に乗っているあいだじゅう思っていたが、時間がなく駅のそばのコンビニでおにぎりを買う。
監督・増村保造、脚本・新藤兼人、撮影・宮川一夫、主演・若尾文子という布陣。1966年の映画。
江戸時代、質屋の娘(若尾文子)が手代(長谷川明男)と駆け落ちをするが、身を寄せた船宿の主人夫婦にだまされ、手代の男は殺されかける。娘は背中に刺青を彫られ、芸者に売られてしまうという恐ろしくも哀しい話がまずは始まりの部分で、原作が谷崎潤一郎なので、これは妖しい映像美の世界が展開されるのかと思うが、そうはならない。
大凶というほかない不運、不幸の連続の主人公だが、生命力がすごいというべきか、背中に彫られた女郎蜘蛛の刺青のたたりなのか、まるで栄養剤のように「不運」をバリバリボリボリ食っているようで、悲劇を観ているというよりも、生命力と性のエネルギーの運動を観ているような気になる。
こぢんまりしたところがあって、映像美というには緊張感が足りなかったし、きわだった完成度はない。若尾文子は最初から、駆け落ちのときから元気いっぱいで、原作はどうなっているのだろうと思ったりしたが、しかし観終わって面白いと思う。腹がいっぱいになったという感じだ。増村保造という監督は一筋縄ではいかない人だと思った。
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