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2010年3月29日 (月)

コミュニティマガジン「い」 愛敬浩一の評論

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 コミュニティマガジン『い』(いの会)2号の愛敬浩一の「場所と経験ー黒井千次『羽根と翼』論」を読んだ。

 本格的な文芸評論を読んだのはひさしぶりだ。というよりも読む気になったのはひさしぶりだ。

 ぼくからするとよくこんな長い評論が書けるものだなと思ってしまうが、愛敬浩一はこの文章の中で「長編評論」というコトバを使っていて、この文章は愛敬浩一のなかでは中編評論くらいの意識だと思う。もしかしたら短編評論と思っているかもしれない。長く書く評論の文章のリズム、息つぎはこうなるのかと思いながら読んだ。

 愛敬浩一は黒井千次の『時間』『五月巡礼』『羽根と翼』の三つの小説に、「戦後」というものに刻印された心をもつ人間、という型を見、その男たちが「今」という時代まで歩いてきたとき、どんな街の風景を、どんな自身の心象に立ち会わなければならないかを書く。労働を、ソルジェニーツィンを、新宿の風景を語る。

 この文章ではソルジェニーツィンの評価以外にはとくに違和感をもたなかった。

 コミュニティマガジン『い』の2号には創刊号にはなかった「総合文芸誌」の呼び名が付いている。やる気満々だ。

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