「アンヴィル!」を観に行く
『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』(監督サーシャ・ガバシ)を観に行く。
ダスティン・ホフマンの「この映画を見るまでヘヴィメタが大嫌いだった。しかしこれは、今まで見たなかでもっとも心が揺さぶられた映画だ!」というコメントが決め手。
いつも決まった映画館にしか行かないので、ちがう映画館を開拓しようという気持ちもあって吉祥寺の映画館に行く。平日の昼間のため客はすくない。寒々とした感じもある。しかし何回か行ってみよう。
『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』。ヘヴィメタバンド「アンヴィル」のオリジナルメンバーのリップスとロブの人生模様を撮る。二人を撮ったドキュメンタリー映画。
「アンヴィル」はカナダのバンド。リップスとロブはほぼ同じ年で、14才のころからバンドを組み、50を過ぎた今もヘヴィメタバンドをつづけている。
80年代の一時、人気を博したこともあったが、その風もやみ、リップスとロブはそれぞれバイトをしながら音楽活動を続けている。二人の働く職場の映像が生きている。
苦境が続くふたりだが、コンサートツアーの話が舞い込んできた。場所はヨーロッパだ。こんなことは滅多にない。リップスとロブを入れて4人のアンヴィルのメンバーは張り切ってツアーに出かける。しかし客は入らない。どうにも入らない。話をもってきた女性マネージャーもそんなに有能ってわけじゃない。
ツアーは失敗だった。ここで反転攻勢しないとどうにもならないと、陽性タイプのヴォーカル兼ギターのリップスが打って出る。姉に資金援助をしてもらい、新しい「アンヴィル」のアルバムを作ろうと試みる。すったもんだのあげくアルバムはでき上がるのだが、そのアルバムを売ってくれる会社が決まっているわけではない。リップスとロブはメジャーな音楽会社をまわるがどこも契約しようとしない。そんなとき日本のプロデューサーからヘヴィメタフェスティバルへの出演を依頼する話が舞い込む。
場所は変わり、状況は好転する。20数年ぶりの日本、ヘヴィメタフェスティバルの出番は一番最初なのに、会場はすでに満員だった。日本のヘヴィメタファンはアンヴィルの名前を覚えていたのか、二人の細々とした活動を知っていたのか、観客はアンヴィル!と叫んでいる。
ラストシーン、ほっとして満たされているリップスとロブが渋谷駅周辺を歩いている。二人ともゆったりとした感じだ。調子の出たリップスは「いい曲を作るだけじゃだめなんだ」と言う。それも真実なんだろうと思う。
撮られる側に寄りそったドキュメンタリー映画。素人ぽい感じだったけど観終わってみるとちゃんと作っている。バックに流れる音楽が抑え気味なのがうれしい。
この映画を観てもヘヴィメタを好きにはならなかった。しかしふたりの幸運を祈る気持ちには充分なった。
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