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2009年6月 4日 (木)

「悪い神」を読む1

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 築山登美夫(つきやま・とみお)さんから送ってもらった詩集『悪い神』(七月堂)、ちょっと読んでみようかと思ったが、本のページが開かない。本のなかの紙の、下と横が裁断されていない。こりゃあ製本ミスだなと思ってハサミとカッターナイフで結局、最初から最後まで自分で裁断することになった。

 とにかく知らせたほうがいいだろうと思い、メールを出した。返信が来て、これは製本ミスなのではなくて、「フランス装」という本の造りだと知った。(ペーパーナイフあるいは食事用のナイフで切りながら読むという形式)。フランス装の本来の形式だそうだ。ものを知らなくて恥をかいた。

 この形は装本者の希望であり、その希望を築山さんが受け入れて、こういう形になったということらしい。

 しかし時間が経つにつれて、これには「前フリ」が必要なんじゃないかと思うようになった。いまの文化状況や社会に対するひそやかな異議がこの「フランス装」にこめられているとしたら、メモやなにかで前もって知らせておかなければ、ただの面倒な本になってしまう可能性がある。大半とは言わないが、たぶん過半の人間はぼくとおなじような反応、製本ミスだと思うはずだ。「ひそやかな異議」が「ひそやかな異議」としてとどけばいいと思うが。

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