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2009年6月14日 (日)

「悪い神」を読む3(終)

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 相変わらずねちっこい、濃い、エロスにみちた詩をとどけてくる。上手い詩人でもある。こういうエロスと社会を視野にいれた詩を書く個性というのは、ぼくはあんまり知らない。

 がっかりしたところもある。この詩集には突然俳句がでてくる。俳句の集まりで作ったという句が12ページにわたって載っているのをみて、何故だろうと思う。この詩集に必要なものだとは思えない。正直ゆるんでいると思った。

 しかし詩を読んでいて、築山登美夫はまだ「違和」をからだのなかに残していると思った。そのことを感じた時、ぼくのなかで黙りこむものがあった。この詩人について考えた。

 猥雑なギトギトした詩行をつくりあげてきた築山登美夫はシンプルなほうへ、簡潔なほうへすこし動いたようにみえる。猥雑だけれどもくっきりした輪郭の詩がある。「青空」にそれを感じる。「青空」はその果てに自在さも持っていて、ぼくは可能性を感じた。

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