「永遠さん」を読む3(終)
『永遠さん』には38編の詩がある。38編の詩を読むのはきつい。何故、詩を読むのかといえば、詩のなかにある言葉の力にひかれているのだと思う。
詩の行がつぎの詩の行を産む、飛躍の力が好きだ。休みの日の昼に、テレビも点けず、エアコンの運転音が響くなか、黙々と詩を読んでいるのはそれだ。この「飛躍」を体験するために読んでいるのだ。さて、それにしても疲れる。詩ほど、書くにも、読むにもエネルギーを使うものはない。なんにもならない。なんにもならないが、まだ書いて、まだ読んでいる。
わたしは普通に生きたいなって真剣に思うようになっ
た
普通って何?
って聞かれると普通の人なんていないと否定されてし
まう悲しさをもっているけれど
普通っていいよね
努力しなければなかなか普通の人生って送れない
地道に今日も働いてご飯作って洗濯して台所の床を
拭いて
そうやって生きていたら詩人ではなく普通の人になれ
るかな
福島敦子「普通の人に」より
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