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2009年2月13日 (金)

「永遠さん」を読む1

 福島敦子詩集『永遠さん』(草原詩社)を読む。

 福島さんは個性豊かすぎるというか、乱暴なところも、きついところも、すこし策略的なところもあって、お近づきになりたいという人ではない。しかし『永遠さん』の数編を読んで、この人の詩はぼくに合うと思った。

 リズムも透明感もある。ぼくのようにまったく無防備に書きはじめるのではなく、考えて書いているようでもある。

 「声のない悲鳴は祈りに似て」はいい詩だ。「南の夏の空の青」もいい。福島さんは声の力というものをもっている詩人だ。が、作りすぎている詩がある。何故だろう。

 福島さんは、ある観念的な、あまり一般的ではない生活をした体験をもった人だ。そのことをふりかえるときの眼差しが、福島敦子の詩に独特の力をあたえている。その強い悲しみが、ときどき襲ってくる生の場所を、通り過ぎたところからの詩、詩集と受け取ってよさそうだ。

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