写真を観にいく
11月27日、新宿に永沼敦子写真展を観にいった。
タイトルは「虹の上の森」。
印象は遠近感をほとんど感じさせないこと。「場面」を切り取っているというか、抜き取っていること。「意味」というものが写真を観ていても浮かびあがってこないこと。
永沼敦子のウェブサイトにある写真を毎日のように観ているが、それは何かにひかれていることにはまちがいなく、それは写真の美しさ、切り取っている場面の鮮やかさというものにひかれているのだと思うが、毎日の生活のなかでは小さなインパクトをもっていることなのだ。
新宿ニコンサロンで観る永沼敦子の写真はウェブサイトで観るものと基本的に同じであり、この空間のなかではパソコンのなかで観ていた美しさ、鮮やかさはあまり感じない。感じるのは写真が「意味」をもっていないこと、もとうとしていないことだ。これはとても面白く、どういうことなんだろうなと思った。
空を切り取っている数枚の写真をながめながら、「永沼敦子にとって写真を撮るとはどういう行為なんだろう」という思いがわきあがってきた。しばらく写真をながめつづけた。空の映る写真をみながら考えた。しかしここまでにしておこうと思った。行為の意味を考えることは、写真をみるということの体験をそいでしまう。
なにかを観たいと思い、そのなかに衝動のようなものがあったら、動くことにしており、今回は写真だった。新宿の西口はビルばっかりで無機質な感じがしてなじめない。しかし余計なものがないぶん、写真を観るにはいいのかもしれない。
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